日本六古窯のひとつとして名をはせる、
兵庫県丹波篠山市の立杭地方。
山深い自然豊かなこの地で八百五十年以上、丹波焼は続いている。
現在も約六十もの窯元が点在し、
作業場に併設されたギャラリーでは、
窯元それぞれに違う世界観を感じることができる。
この土地で土とふれあい窯の中で炎を育て、
作品をつくる陶工は皆、
大木のようなおおらかさと太陽のような温かさをもっている。
「問屋がないから、つくるとこから販売するまでを
全部自分たちの手でやってきた。
お客様と対話し、時代に合ったものにつくりかえる。
それもここまで続いてきたひとつ」
伝統を守りつつ柔軟さも合わせもつのが丹波焼の特徴だ。
そんな陶工の人柄にふれ、一緒に土をさわり食卓を囲む。
星空を眺め語り合い、早朝には幻想的な丹波霧に息をのむ。
暮らしを共にすることで見えてくる、
作品が生み出される種、窯が歩んだ歴史、創作の根源。
産地の自然の中で宿泊し、
生活にふれ伝統に思いをはせるこの旅は、
日常を豊かにする新しい体験となる。
誰かに話したくなる旅がここにはある。
ろくろを回していたかと思うと、お客さんと談笑しながら作品の説明をしている。
郷や器に対する豊富な知識や、作陶から販売まですべてを自分達で行うことで培われた
その人間力にはいつまでも話していたくなる魅力がある。
そんな陶工と産地をめぐり、暮らしを共にするこの旅は、
丹波焼を側面だけではなく、作り手が持つ美意識、創作の根源など、より深いところまで味わうことができる。